吉備津彦命(きびつひこのみこと)

桃太郎伝説
吉備津彦命(きびつひこのみこと)
百田弓矢媛(ももたゆみやひめ)

1. 吉備津彦命の系譜

  • 父:第7代孝霊天皇(こうれいてんのう)
  • 母:倭国香媛(やまとのくにのかひめ) – 『日本書紀』の一書に記載
  • 妻:百田弓矢媛(ももたゆみやひめ)

吉備津彦命は天皇家に属する皇族として、ヤマト王権の命を受けて地方平定に尽力したと伝えられています。


2. 吉備津彦命の伝説

(1) 温羅(うら)討伐伝説

吉備津彦命にまつわる最も有名な伝説は、鬼神とされる**温羅(うら)**を討伐した物語です。この伝説は岡山県に深く根付いており、桃太郎の物語の原型とされています。

  • 物語の概要
    • 吉備津彦命は、中央政権から吉備国を平定するよう命じられます。
    • 吉備国では温羅が悪行を働き、民衆を苦しめていました。
    • 吉備津彦命は温羅を討伐し、吉備国の平和を取り戻します。

この物語では、吉備津彦命が「犬」「猿」「雉」といった動物の助けを借りて戦うという桃太郎伝説との共通点が見られます。

温羅討伐の様子

(2) 出雲平定

  • 崇神天皇60年には、出雲国(現在の島根県)に派遣され、出雲振根(いずものふるね)を討伐したとされています。
  • 出雲振根(いずものふるね)とは?
  • 「出雲振根(いずものふるね)」とは、古代日本の伝承や神話に登場する人物で、出雲国(現・島根県)**に関係する英雄的な存在です。彼は『日本書紀』や『古事記』にその名が記されている。
  • 1. 出雲振根の登場する伝承
  • (1) 大国主神の子孫
  • 出雲振根は、出雲の神話的支配者である**大国主命(おおくにぬしのみこと)**の子孫とされています。彼は出雲国の豪族であり、ヤマト王権との対立や関係の変化を象徴する存在として描かれています。
  • (2) 吉備武彦との対立
  • 『日本書紀』には、出雲振根がヤマト王権の臣下である**吉備武彦(きびのたけひこ)**と対立したというエピソードが記されています。彼の行動や対立は、古代日本におけるヤマト王権と地方勢力の関係を象徴するものと考えられています。

出雲振根(いずものふるね)

3. 吉備津神社と吉備津彦命

吉備津彦命は、岡山県の吉備津神社吉備津彦神社の主祭神として祀られています。

  • 吉備津神社
    • 岡山市北区にある由緒ある神社で、吉備津彦命を祀る全国的に有名な神社。
    • 吉備津神社には「鳴釜神事(なりがましんじ)」という占い儀式が伝わっています。これは、吉備津彦命が温羅を討伐した際のエピソードに由来するとされています。
  • 鳴釜神事(なりがましんじ)」という占い儀式とは?
    鳴釜神事(なりがましんじ)」という占い儀式は、釜の上に蒸篭を置いてその中にお米を入れ、蓋を乗せた状態で釜を焚いた時に鳴る音の強弱・長短等で吉凶を占う神事です。
  • 鳴釜神事の方法
  • 釜に水をはり湯を沸かす
  • 釜の上に蒸篭を置く
  • 蒸篭の中に米を入れる
  • 蓋を乗せた状態で釜を焚く
  • 鳴る音の強弱・長短等で吉凶を占う
  • 一般に、強く長く鳴るほど良いとされています。音を聞いた者が、各人で判断します。
  • 鳴釜の音と占いの解釈
  • 大きく響き渡る音 → 良い兆し(願いが叶う、運勢が良い)
  • 小さい音、または鳴らない → 悪い兆し(慎重に行動すべき)
  • 不吉な音(異常な響き) → 何か問題が起こる暗示
  • このように、釜の音が神の声として解釈され、祈願の成否や未来を占うものとされました。
  • 鳴釜神事が行われる場所
  • 吉備津神社(岡山県岡山市)
  • 吉備津彦神社(岡山県岡山市)
  • 鳴釜神事の由来
  • 鳴釜神事は、吉備国で発生したと考えられています。吉備津彦命が鬼を退治した際に、鬼の首を釜の下に埋めたことが始まりという伝説もあります。
  • 現在の鳴釜神事
  • 現在も一部の神社で体験することができます。特に有名な場所:
  • 鎮国寺(福岡県宗像市):密教系の寺院で、毎月「鳴釜神事」を実施。
  • 大洗磯前神社(茨城県大洗町):古くからの霊験あらたかな地で、鳴釜神事を伝承。

吉備津神社 Wikipedia参照
吉備津彦神社 Wikipedia参照 
鳴釜神事(なりがましんじ)の様子

4. 桃太郎伝説との関連

吉備津彦命の温羅討伐伝説は、後に全国的に広まる桃太郎伝説の原型とされています。

  • 共通点
    • 鬼(温羅)の討伐
    • 犬、猿、雉の登場
    • 鬼ヶ島(温羅の拠点)の存在

これらの要素から、吉備津彦命の物語が桃太郎の物語として形を変えて伝承されたと考えられています。


5. 歴史的解釈

吉備津彦命の伝説は、単なる神話ではなく、ヤマト王権が吉備国を支配する過程を反映していると考えられています。

  • 吉備国の重要性
    吉備国は鉄や農産物の産地として古代日本において非常に重要な地域でした。そのため、ヤマト王権が吉備国を支配することは、経済的・軍事的に大きな意味を持っていました。
  • 温羅の正体
    温羅は外来の技術や文化を持つ渡来人であった可能性があり、中央政権による吉備国支配の過程で対立が生じたことが、この伝説の背景にあると考えられています。

6. 吉備津彦命の現代的意義

吉備津彦命は、岡山県を中心に観光資源や文化のシンボルとして扱われています。吉備津神社や桃太郎伝説に関連する観光地を訪れることで、彼の伝説や古代日本の歴史に触れることができます。


まとめ

吉備津彦命は、古代日本の英雄的存在として、吉備国の平定や発展に深く関わったと伝えられる人物です。彼の物語は、桃太郎伝説の起源として広く知られ、ヤマト王権の地方支配の歴史や日本文化の形成過程を理解する重要な手がかりを提供しています。

吉備津彦命(きびつひこのみこと)は、記紀等に伝わる古代日本の皇族で、第7代孝霊天皇の皇子です。


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