短命ながらも皇統を繋いだ天皇
🧬 基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 諱（いみな） | 英仁（ひでひと） |
| 幼名 | 若宮 |
| 生没年 | 1758年8月5日 ～ 1779年12月16日（満22歳没） |
| 在位期間 | 1771年1月9日 ～ 1779年12月16日（約9年間） |
| 父 | 桃園天皇（第116代） |
| 母 | 藤原富子（恭礼門院／関白・一条兼香の娘） |
| 皇統 | 持明院統（北朝系） |
| 陵墓 | 月輪陵（京都市東山区・泉涌寺内） |
🧒 幼少期と即位まで
宝暦12年（1762年）、父・桃園天皇が22歳で早世したため、英仁親王はまだ5歳でした。そのため、一時的な中継ぎとして、伯母である**智子内親王（後の後桜町天皇）**が即位します。
その後、明和5年（1768年）に立太子され、明和7年（1770年）には後桜町天皇の譲位を受け、第118代天皇として即位しました。
- 即位礼：1771年4月28日（明和8年）
- 大嘗祭：1771年11月19日
🏯 治世の様子と文化的側面
後桃園天皇は病弱な体質でありながら、学問や和歌、日記の執筆に熱心だったと伝えられています。天皇自身が記したとされる資料には、
- 『後桃園院宸記』（にちにちの記録）
- 『年中さかつきの次第』（禁中の儀式に関する書）
などがあり、文化の継承に取り組んだ姿勢が見られます。
🛡 幕府との関係
政治面での大きな動きはなかったものの、在位中には朝廷内の不正や幕府からの監視強化といった問題も生じており、朝廷統制の緩みが課題となっていました。
⚰️ 崩御と皇位継承の危機
後桃園天皇は安永8年（1779年）、わずか22歳で崩御します。男子の皇子はおらず、唯一の子は欣子内親王でした。
そのため、朝廷では皇位の継承問題が発生。後見役の後桜町上皇や重臣たちは協議の末、**閑院宮家の兼仁親王（後の光格天皇）**を養子として迎え、皇位を継承させました。
これは直系男子継承の原則を保とうとする動きであり、後に皇統を安定させる礎となります。
🪦 陵墓と御製（ぎょせい）
- 陵所：京都・泉涌寺にある月輪陵（つきのわのみささぎ）
- 代表的な和歌（御製）：
> のどかなる 春を迎えて さまざまの
> 道栄えゆく 御代ぞにぎわふ
四季を感じる温雅な感性がにじむ一首です。
📝 まとめ
後桃園天皇は在位期間こそ短く、政治的な権限は限定的でしたが、文化の維持と皇位の継承において重要な役割を果たしました。
彼の崩御後に即位した光格天皇は、幕府への自立姿勢を強めるなど、後桃園天皇の時代から皇室の新たな流れが始まったともいえます。
コメントを残す